Pensa Suhr / Pensa Electric Guitars




Pensa Suhr MK1 - 1988 - Amber



1988年製
S/N  :  001
Color : Natural Amber




このギターは1990年代のメイン・ギターとなったPensa Suhr(ペンザ・サー)のノップラー・カスタム・メイド・モデルです。
1985年頃ニューヨークの48丁目にあったRudy Pensa氏のお店Rudy's Guitarに出入りしていたノップラーにRudyさんが「君の為にオリジナル・ギターを作ってあげるよ。」と持ちかけたのがきっかけだそうです。

またこのお店には名ギター・ルシアーとなるJohn Suhr(後にFender Custom Shop、現在はJST(Suhr Guitars)を設立)がギターのリペアをしており、RudyさんとJohnさんとKnopflerの3人で共同開発したのがこのギターです。

ちなみに'85~'88年頃までDire StraitsのメンバーだったJack SonniさんはなんとこのRudy's Music Shopで働いていてノップラーから直々にスカウトされたそうですが、John SuhrさんもJack Sonniさんが抜けた後のダイアー・ストレイツに加入しないかとノップラーから持ちかけられる程、卓越したギターの腕前を持つギタリストでもあったそうです。


主な特徴としてはフレイム・メイプル・トップとホンジュラス・マホガニー・バックのボディにワン・ピース・メイプル・ネックでエボニー指板、そしてフロイド・ローズ・トレモロ・ユニットを搭載している(アームは外されている)のでナットは同フロイド・ローズのロック・ナットが付いています。
またEMGのアクティヴピック・アップ EMG SAをフロントとセンターにEMG 85をリアにそれぞれ配置しています。

                                                                 ← クリックすると拡大画像が見られます。

音の特徴は聴いている印象ではクリーン・トーンでは輪郭のあるクッキリした音なのにやや甘いキンキンしないサウンド、ドライヴ・トーンでは太くてふくよかなやはり甘めのトーンです。
甘めのトーンというのはEMGに代表されるアクティヴ・ピック・アップ全般の特徴ではありますが、クリーン・トーンのくっきりした音色はメイプル・トップ・ボディとエボニー指板の影響でしょう。

個人的には非常に好きなギターで、1992年頃に日本ではいくらで買えるのだろうと思い当時の販売代理店に問い合わせたところ、ちゃんと定価があって¥880,000(×消費税3%)でした。なので万年金欠状態のKnopfleriは諦めました… orz


このギターでレコーディングされた曲は1990年のノッティング・ヒルビリーズの[ Feel Like Going Home ]やダイアー・ストレイツの1991年のOn Every Streetに収録の[ Calling Elvis ]、[ Heavy Fuel ]、[ Planet of New Orleans ]等があります。

LIVEでは一般的に認知されたのは1988年のPrince's TrustやNelson Mandela TributeでのEric Claptonとの共演の時でしょう。
またEric Claptonの25周年ツアーで来日した際もこのギターを使用していたので日本のノップラー・ファンにも馴染みの深いギターといえるでしょう。

そして1990年のノッティング・ヒルビリーズのU.K.ツアーで[ You Own Sweet Way ]、[ I Think I Love You Too Much ]、[ Feel Like Going Home ]、[ Hobos Lullaby ]で使用しています。

同じく1990年のKnebworth FestivalでもEric Clapton Bandとジョイントして[ I Think I Love You Too Much ]等の名演を残しておりこの時の模様はオフィシャルDVD[ Knebworth 1990 ]で観る事が出来ます。

そして1991~1992年のOn Every Streetでは[ Calling Elvis ]、[ Heavy Fuel ]、[ Planet Of New Orleans ]、[ Sultans Of Swing]、[ You And Your Friend ]、[ Tunnel Of Love ]、[ Telegraph Road ]の後半部分、[ Solid Rock ]、[ Money For Nothing]で使用しており完全に当時のメイン・ギターとなっているのが解ります。
なおこのツアーでのギター・サウンドはオフィシャルCDの[ On The Night]、[ Encores ]や同じくオフィシャルDVDの[ On The Night ]でも確認出来ます。

そしてソロになった1996年のGolden Heart Tourでも[ Romeo & Juliet ]の後半や[ Sultans Of Swing ]、[ Telegraph Road ]、[ Gravy Train ]等の曲で使用されました。

この頃からGibson Les Paul 1958製を併用し始めるので徐々に出番が少なくなってきた様です。

またこのギターで名演奏を聴かせてほしいですね。




Pensa Suhr R-Custom - 1980's - Mirror Metalic Black



1980年代製
S/N  :  unknown
Color : Mirror Metalic Black



このモデルは恐らくノップラーが初めて手にしたPensa Suhrのギターではないでしょうか?

上の画像がとちょっと見にくいかもしれませんがヴォリューム、トーン・ノブやP.U.セレクト・スイッチの他にも細かいミニ・スイッチが4つ付いています。
これらのアッセンブリーの詳細はよく判らないのですが、一説によると当時出始めだったギター・シンセサイザーを搭載したモデルという話もあります。

このギターが我々の前にお披露目されたのは1985~1986年のBrothers in Armsのワールド・ツアーの事です。

1曲目の[ Ride Acroess The River ]からこのギターで登場しましたので、このツアーの映像を観た事がある方ならよく覚えているモデルかもしれませんね。
同ツアーでは他に[ Why Worry ]でもこのギターを使用していました。

しかしこのツアー以降、全く登場しなくなってしまいました。
なのでこのギターの詳細はますます手掛かりが無くなってしまいまして、迷宮入りの日も近いでしょう(笑)。




Pensa Suhr Unknown Name Model - 1980's - BLK



1980年代製
S/N  :  unknown
Color : Black



このギターは1980年代後半にEric Claptonのサポートでツアーをしていた頃によく使用されたギターです。
上のMirror Metalicのモデルと外見が似ていますが、こちらのモデルにはボディ・サイドにセル・バインディングが施されており、Mirror Metalicのモデルより輪郭がはっきりしたルックスとなっています。
殆どMK1と呼ばれるモデルと同じ様なボディシェイプといえるでしょう。
MK1との違いはこちらのモデルはボディTOPの表面は曲線を描いていないがフラットな形状だという事でしょうか。

付加情報としては1987年のFerry Aidでのシングル[ Let it Be ]で使用されたとの事です。



また、この曲のPV ( プロモーション・ヴィデオ ) にもこの黒いPensa Suhrが出てきます。
ちなみにその時のPVにギターが映っていたシーンの映像が一番右の画像です。

そしてThe Notting Hillbilliesの1990年のツアーでの[ Water Of Love ]でアーム付の状態で使用されているのが各種写真や映像で確認されています。

しかしながらこのギターも入手経緯やギターの詳細がイマイチよく判りません。
なので詳細が判り次第追記したいと思います。




Pensa Unknown Name Model - 1990's - Red



1990年代製
S/N  :  unknown
Color : Red



このギターは1991~1992年のOn Every Strret Tourでの[ Two Young Lovers ]で使用されたギターです。
なのでこのツアーのブート映像やYouTube等でこの曲の映像を観ると必ず使用されていますので気になる方はそれらの映像を要チェックです。

基本的にシングル・コイルP.U.が3つ搭載された、いわゆるFender Stratocasterに順じた仕様になっていますが、サウンドはFenderよりもかなり硬質でキンキンした音に感じます。

まあこの曲の時には歪んだ音色ではなくクリーン・トーンでコーラスをかなり効かせたサウンドにしていたのでよりそういう音色に感じたのでしょうが、いずれにしてもかなり硬めの音色を出すギターなのは間違いないでしょう。

このギターはこのツアーのこの曲でしか使われた形跡はなく、レコーディングで使用されたという文献や記述も見当たらないので今頃はおそらくタンスの肥やしになっているかもしれません。(笑)




Pensa MK2 - 1990's - CH



1990年代製
S/N  :  unknown
Color : Cherry Sunburst



このギターは1996年のGolden Heart Tourでお目見えしており、[ Golden Heart ]、[ Lat Exit To Blooklyn ]、[ Father And Son ]で使用されました。
そして2001年のSailing To Philadelphia Tourでの[ Sultans Of Swing ] と [ Romeo And Juliet ] の後半パートで使用された模様です。

このモデルは3つのシングル・コイルP.U.が搭載されており、"Pensa Suhr MK1"に搭載されていた様なトレモロ・アーム・ユニットは付いていません。
おそらくストップ・テールピースにする事でチューニングの安定性を考慮したのでしょう。

そしてP.U.にはLindy Fralin( リンディ・フレーリン )製の[ Real 50's ]が搭載されている様です。

その後は暫く見かけませんでしたが、なんと2008年のKill To Get Crimson Tourでの [ Telegraph Road ] で使用され、久々に我々ファンの前で披露されました。



< 2008-03-29 @Amsterdam, Holland >


左の2枚の画像と右の2枚及び直上の画像とではボディ表面の色や艶がやや違って見えますのでもしかすると同じ仕様で何本かあるのかもしれませんが、古いPensaを再び使用しているというGuy Flectcherさんの2008年3月の日記のコメントを信用するなら同じモデルという事になりますが実際は真偽不明です。

このギターのサウンドの印象としては、輪郭のはっきりした堅めのトーンですが、クリーン・トーンでもサステインもたっぷりありまして、さすがはPENSA!と言いたくなるほどのサウンド特性を誇っており、PENSAギターの造りの素晴らしさを窺い知る事が出来ます。

個人的にはもっともっと色々な曲でも使用してほしいギターの1本ですね!




Pensa MK80 - 2004 - DBL



2004年製
S/N  :  0001
Color : Daphne Blue



このギターは2004年1月29日にRudy Pensaさん本人からノップラー本人に手渡された1本で、もちろんシリアル・ナンバーは0001です。
Pensaのギターにしては比較的オーソドックスなFenderストラト・タイプのボディ・シェイプのギターです。

このギターのモデルとなっているのは1980年代前半に使用していた赤いSchecter Stratoではないかと推測されます。
1-Volume, 1-ToneでP.U.セレクタはミニ・トグル・スイッチが3つ搭載されています。
またP.U.はLindy Fralin(リンディ・フレーリン)製のものが搭載されている様ですが、どの型番のものかは現時点では不明です。

ネックはバーズ・アイと呼ばれる杢目のメイプル(カエデ)材を使用しており、指板もメイプルをそのまま使用しており、ヘッドは表面のみボディ・カラーと同じくダフネ・ブルーがペイントされた、いわゆるマッチング・ヘッドとなっています。

このギターが実際にレコーディングやステージ等で使用されたという情報や写真、文献はまだ見た事がありません。
一応入手というかRudy Pensa氏からプレゼントされたのが2004年のアルバム[ Shangri-La ]のレコーディング中なので、アルバム制作時のスナップショットではスタジオ内に他のギター達と一緒に並んでいるのは見受けられるのですがあのアルバムのどの曲で使われた等の情報を得るには至っておりません。

どこかで使われているのが判明次第、追加掲載したいと思います。



Pensa MK2 Plus - 2005 - CH



2005年製
S/N  :  unknown
Color : Cherry Sunburst



このギターは2005年のShangri-La Tourの6月10日のミラノ公演の日にRudy Pensaさん本人からノップラー本人に手渡された1本で、我々が目にした今のところ一番新しいMKモデルでしょう。

早速その日のコンサートから使い始め、Shangri-La Tour終了まで[ Telegraph Road ]演奏時に必ず使用されました。

上記ののCherry Sunburstのモデルと外見が似ていますが、こちらのモデルにはボディ・サイドにセル・バインディングが施されており、上記のCherry Sunburstのモデルより輪郭がはっきりしたルックスとなっています。

しかし残念ながらボディTOPのトラ杢の美しさは上のCherry Sunburstのモデルの方が綺麗ですね。

ちなみに新しいPensaを使う理由として2005年頃にVintage Magazineのインタビューでこんな事を語っていました。

I've been friends with Rudy Pensa for a long time, and now I can't play my old Pensas because the necks are too small for me - I'm used to playing with bigger necks now, but the latest one he made for me is fantastic.
It's got a bigger neck, and I put some serious pickups in it that are kind of a Stevie Ray Vaughan-style.
A lot depends on what kind of pickups you're using, for the personality of a guitar to come through, and these sound great.
They're Fender Texas Specials.

ルディ・ペンザは長い付き合いの友達なんだけど、今は太いネックで弾くことに慣れちゃってるから古いペンザ(Pensa Suhr MK1)はネックが小さくて(細くて)最近は弾けないんだよね。
でも私に作ってくれた最新のやつは素晴らしいよ。
そいつはかなりネックが太くて、スティーヴィー・レイ・ヴォーン・タイプのすごく良いピックアップが搭載されてるよ。
ギターの個性はピックアップ次第でこいつらはFenderのテキサス・スペシャルなんだけど良い音だよ。


必ずしもこのギターの事を指しているかどうかは確信出来ませんが同時期に他に新しいPensaを確認出来ていないのでこのギターなのではと思われます。

て事はかなりネックは太めなんでしょうかね?
見た目では昔の"Pensa Suhr MK1"よりもネックの幅は広そうですが、厚みもあるのかもしれませんね。

このモデルも上記のMK2同様、3つのシングル・コイルP.U.が搭載されており、"Pensa Suhr MK1"に搭載されていた様なトレモロ・アーム・ユニットは付いていません。
おそらくストップ・テールピースにする事でチューニングの安定性を考慮したのでしょう。

またP.U.には上記インタビューにある通りどうやらFender Texas Special(テキサス・スペシャル)が搭載されている様です。

その後2006年のエミルー・ハリスとのAn Evening Of Duets Tourでも使用されていましたがこのツアー以降見かけなくなってしまいましたね。
ツアーには持ち歩かず家で大切に弾いているのでしょうか?





Pensa Suhr / Pensa Guitar Remarks


他にも色々Pensa Suhrのギターを使用しており、それぞれ仕様の違いがあるのですが何枚か写真を目にしたのみであまり資料が無く細かくは把握しておりません。

なので現在のPensa Suhrについてざっと説明を致します。

ちなみにPensa SuhrというブランドはJohn Suhrさんが独立してしまい現在ではありません。

John SuhrさんはFender Custom Shopのマスタービルダー等を経て前述のSuhr Guitarsというブランドでハイエンドかつオーセンティックなストラト・タイプのギターやMK1シェイプを踏襲したカスタムモデル等を製作しており、世界的にも評価の高いギターを作り続けています。

Rudy Pensaさんは新たにPensa Custom Guitarsというブランドを立ち上げ、ここで現在もMark Knopfler Modelの製作をしています。
また不定期ですがヨーロッパで[ Pensa Day ]というイベントを開いたりしていて、ノップラー御大の所有ギターを展示したり、Richard BennettさんやChris Whiteさんなどのノップラーゆかりのミュージシャン達によるセッション・ライヴ等も行われたりとノップラー・ファンにはたまらないイベントの様です。

ちなみに現在のPensaブランドのMark Knopfler ModelのラインナップはMK1、MK2、MK2 Plus、MK80の4種類となっていましてそれぞれの1号機はノップラー本人が所有しているとの事です。

詳細はPensa Guitarsのウェブサイトにありますので参考までに。(下段のモデル名をクリックして下さい。) 

Pensa Custom Guitars

Pensa MK1 & MK2

Pensa MK80


たまに日本でも見かける事がありますが基本的にオーダーメイドのみであまり本数は製作していない様で稀少みたいです。
もちろん日本からもPensaのWEBサイトにあるオーダーシートのフォーマットに希望仕様を記載すれば直接オーダー出来ます。

私が注文するなら[ Pensa Suhr MK1 ]のドンズバ仕様ですが、現在では材も稀少になってきているのと楽器業界ではパーツ類もOEM化が進んでMade in U.S.A.のパーツからChina製のパーツに変わってきたりしているのでなるべく質の高いパーツの在庫がある早いうちにオーダーした方が賢明でしょうね・・・

ちなみにSuhr GuitarsでもMK1とほぼ同様のモデルをオーダーする事が出来ますが、こちらはヴォリュームやトーン・ノブの位置とP.U.セレクターのそれぞれの取付位置がオリジナルの[ Pensa Suhr MK1 ]とは若干違う様です。

下の画像ががSuhrのMK1仕様のオーダー・メイド・モデルです。( 正式にはCustom Carve Top Standardというモデル名だそうです。)

               

上の左の2枚の画像ですがボディ表面のメイプル材の杢目が綺麗ですが、よく見ると残念ながらオリジナルMK1の様に1ピースではなくセンター2ピースになっている様です。

ちなみに上の右2枚の画像はMK NEWSの管理人Terry Kilburnさん所有のスペシャルオーダーのMK-1仕様のSuhr Custom Carve Topです。
Terryさん曰く、John SuhrさんはPensaで修行していた時代の作品であるPensa Suhr MK1を再現する事に非常に難色を示したらしいですが、限りなく同じでないと意味が無いからと無理やり押し切ったそうです。エラい!パチパチ。

そのこだわりのお陰でこちらのギターははボディTOPは1ピースになっている様です。
御大のMK-1の実物を間近で見た事があるであろうTerryさんですからさぞかし完成度の高いコピー( というのは正しくないかな?)なのでしょう。



そして下の画像がPensa MK1です。

     

しかしPensaのMK1もオリジナルと違ってP.U.がボディにダイレクトにマウントされておらず、エスカッション(枠みたいなもの)が付いていますし、ブリッジ部分の下にレセス加工(アームUPしやすい様にザグってある)等も施されているので視覚的にはやはりオリジナルとは若干異なる印象です。

こちらのPensaはボディ表面は1ピースでヴォリューム、トーン・ノブとP.U.セレクターの取付位置もオリジナル通りにほぼ近い感じに見えますが、やや塗装が厚く感じますし、Suhrとは仕上がり具合が違う感じがしますね。

Pensa Suhr亡き今となっては新品で入手するには上記のPensaとSuhrのそれぞれMK1モデルをチョイスするのが正統派な感じがしますが、どちらも一長一短といったところでしょうか。

いずれにしてもノップラー・フリークのギター・プレイヤーならいつかは所有してみたいモデルの1つですよね!