Get Lucky  - 2009 -
Mark Knopfler


1, Border Reiver ボーダー・レイヴァー (04:35)
2, Hard Shoulder ハード・シュダー (04:33)
3, You Can't Beat The House ユー・キャント・ビート・ザ・ハウス (03:25)
4, Before Gas & TV ビフォア・ガス・アンド・ティーヴィー (05:50)
5, Monteleone モンテレオーネ (03:39)
6, Cleaning My Gun クリーニング・マイ・ガン (04:43)
7, The Car Was The One ザ・カー・ウォズ・ザ・ワン (03:55)
8, Remembrance Day リメンブランス・デイ (05:05)
9, Get Lucky ゲット・ラッキー (04:33)
[ Personnel ] 10, So Far From The Clyde ソー・ファー・フロム・ザ・クライド (05:58)
11, Piper To The End パイパー・トゥ・ジ・エンド (05:47)
Mark Knopfler - guitars and vocals
Richard Bennett - guitars (Bonus Track) Pulling Down The Ride プリング・ダウン・ザ・ライド (00:00)
Guy Fletcher - keyboards (Bonus Track) Home Boy ホーム・ボーイ (00:00)
Glenn Worf - bass guitar, string bass (Bonus Track) Good As Gold グッド・アズ・ゴールド (00:00)
Matt Rollings - piano, organ
John McCusker - violin, cittern, whistle, other (iTunes Store only) Early Bird アーリー・バード (00:00)
Danny Cummings - drums (iTunes Store only) Time In The Sun タイム・イン・ザ・サン (00:00)

[ Additional musicians ]

Michael McGoldrick - flute, Whistle
Phil Cunningham - accordion
and other

Recorded : in Oct. 2008 - March 2009
Producer : Mark Knopfler, Chuck Ainlay, Guy Fletcher
Release : September 14, 2009
Label : Marcury, Warner Bros. Records (Non Such Lavel)



2009年9月に発売されたソロ6作目のアルバムです。
前作の[ Kill To Get Crimson ]に伴うワールドツアーの終了直後にすぐにレコーディング・セッションを始めたとの事ですが、そのニュースを見た時にツアーで何か良い新しいフィーリングを掴んだのではないかと予想していましたのでいつものアルバム以上に期待に胸が高鳴っていました。

さて内容についてですがまずいきなり意表をつくハイテンポなフォルクローレ調の[ Border Reiver ]に心を奪われます。
この"Border Reiver"という意味ですがこれは元々は16世紀のスコットランドとイングランドの国境付近で暴れまわった侵略者達の事らしいですが、この曲では1960年代のトラック野郎達、過酷な労働条件の下、日夜汗を流している長距離トラック運転手達の生活との比喩やダブル・ミーニングになっているとの事です。
ちなみにこの曲がこのアルバムからの第1弾シングルになりました。
またMichael McGoldrickさんの奏でるWhistleの音色やフレーズがスパイスを効かせていて曲のイメージを決定付けていますね。

2曲目の[ Hard Shoulder ]はメロディの反復(リフレイン)の多い曲ですが中盤のホルンやうっすらと聴こえるストリングスも隠し味になっていてなかなか巧みなアレンジに感じますね。実は意外にこういった曲調では平坦な曲の雰囲気になりがちでうまく聴かせるのは難易度が高く、さすがノップラーといったところです。

3曲目の[ You Can't Beat The House ]は王道のシカゴ・ブルースの曲調ですが、ノップラーが自らこういった直球のブルース・スタイルを演奏するのは非常に稀ではないかと思われます。
トレモロを効かせたセミアコっぽいバッキングギターの音色やいかにもなホンキー・トンク調なピアノ、ブルージーなフレーズに終始する計2回のレス・ポールでのギターソロ等が耳に印象に残る曲ですね。

4曲目の[ Before Gas & TV ]は前作[ Kill To Get Crimson ]の雰囲気の色濃い楽曲です。
恐らく本アルバムの中でも比較的早い段階で作曲したのかもしれませんね。あるいは前作からの持ち越し曲という可能性もあります。
Michael McGoldrickさんのFluteとPhil Cunninghamさんのアコーディオンが重くなりがちなこの曲に明るい彩りを加えています。

次の曲はイントロから映画音楽ばりのストリングスで始まる5曲目の[ Monteleone ]もかなり印象に残る曲です。
ニューヨークの超高級手工ギター職人のJohn Monteleoneさんをモチーフにした曲だそうで、そのヘンクツというかユニークな人柄や生き様を歌っているとの事です。
またこの曲では中盤から前作の[ Heart Full Of Holes ]と同じコード進行になりドキッとさせられます。
しかも歌メロ部分も酷似しており少々苦笑いしてしまった部分でしたが、曲全体では似ていません。あくまで一部分のみです。
もちろんこの曲ではモチーフとなったMonteleoneさん作のギターの"Isabella"を使用しているそうです。

6曲目の[ Cleaning My Gun ]はソロ以降のノップラーのミディアムテンポの定番ロックナンバーで、2004年の[ Boom, Like That ]にも演奏の雰囲気が似ている気がします。
7曲目の[ The Car Was The One ]はお得意のエレキギターによるクリーン・トーンでのフレーズがいかにもな感じで思わずにやけてしまう1曲です。
この曲ではいつもの赤いMKストラトではなくヴィンテージの1954年製Fenderストラトを使用していますが、この辺りは[Guitars]の章で追求していきたいと思います。

8曲目は哀愁観溢れるレスポールの音色と非常に覚え易いサビが印象的な[ Remembrance Day ]です。
この曲では少年少女によるコーラスが入っており非常に効果的なアレンジで、この曲に一本芯の通った清潔感を出すのに一役買っていると思います。
ちなみに第2弾シングルになる事が早くも決定している様です。

9曲目はタイトル曲の[ Get Lucky ]ですが、曲名のイメージからすると幸運を掴んだぞー的なアゲアゲな(?)曲調を想像していましたが、アコースティックギターの音色が心地よいメロウな曲調でした。
この曲ではJohn McCuskerさんのFluteが曲の良いアクセントになっていまして、前作のツアーでも感じましたがつくづくこの人は器用なミュージシャンですね。
そしてこの人を選んだノップラーも流石の人選だなと感じますね。

10曲目の[ So Far From The Clyde ]も4曲目同様に前作[ Kill To Get Crimson ]を踏襲したかの様な作風ですが、本アルバムの中で最もヘヴィーかつ壮大な曲調といえるでしょう。
特に後半のサビ以降はまるで地平線がどこまでも果てしなく広がっていくかの様な壮大さを想起させる演奏でこの曲こそが本作のハイライトではないでしょうか。

そしていよいよこのアルバムのラストを飾るのはスコティッシュ~ケルティックな雰囲気のあるバラードの[ Piper To The End ]ですが、アルバムの〆にこういった穏やかな曲調というのは非常にリラックス出来るといいますか、アルバムを聴くに連れ高揚していた気持ちを徐々に和らげ無事に元の気持ちに着地させてくれる気がします。また後半の歌メロをなぞった様なギターソロが印象的な佳曲です。
ちなみにこの曲では新しく入手したハイエンドなモデルであるである巷で人気のDon Groshというギターを使用しています。

全曲聴いてすぐに思ったのはフォルクローレで始まりケルトで終わるといった様にバラエティに富んだ楽曲を絶妙な順番に配置してあるなという事ですね。
恐らく前作が似た様なリズム、曲調が並んだ曲順だったのでやや単調・同じカラーの楽曲ばかりに感じられた反省もあったのかもしれませんが。

そしてアルバム全体を通して感じられるのは、今までのアルバムには感じなかった水晶の如き淡い色彩の様な透明感のある雰囲気です。
コレといった歴史に残る様な名曲は無いかもしれませんがやや大味な(?)ジャケアートと正反対にこの透明感のある雰囲気を楽しみたい一枚です。 f ^_^ ;



最後にこのCDは計3種類のフォーマットで発売されましたがそれ以外にもちょこちょこあるのでまとめて記載します。

まずは通常盤(CD1枚)です。

そしてLimited Editionと呼ばれるデジパックの2枚組ケースのものが発売されています。
これには通常のCD本編プラスDVDが付いています。
そしてこのDVDにはノップラー御大とプロデューサーのチャック・エインレイさんによるBritish Grove Studioの内部の様々な部分を紹介する映像が入っています。

更にもう一つ!Deluxe Editionという豪華版もありそれは下記の様になっています。

* Limited Editionと同様のCD/DVDが各1枚ずつ
* 3曲の新曲ボーナストラックが入ったCDが1枚 [ Bonus ]
* KTGCツアーのドキュメント等秘蔵映像の収められたDVDが1枚 [ Visual ]
* オリジナル彫刻入りのポーカー・チップ(賭け事用のコインみたいなもの)が3枚
* [ Get Lucky ]のギター用タブ譜(ギター専用の譜面:タブラチュア)
* [ Get Lucky ]の2枚組アナログLPレコード
* 有名カジノ・ブランドのダイス(サイコロ)が2個
* 古いタイプのファクシミリによる打ち出しチケットの模造品

またそれとは別に[ Early Bird ]と[ Time In The Sun ]という2曲の未発表曲がiTunes Store限定で発売されていましてそこでしか購入出来ない様です。
そしてDeluxe Editionのものと同じアナログ12インチLP2枚組(180g重量盤!) がバラ売りで発売されています。

ファン心理を巧みに突いたうまい商法ですが、売り方が細かすぎて判りにくいのと煩雑になるのは勘弁してもらいたいですね~。

<by Knopfleri (ノップレリ)>

個人的評価 ★★★★ (満点 = ★★★★★)