aLCHEMY  - 1984 -
Dire Straits


[ Disc-1 ]
1, Once Upon A Time In The West かつて西部で (13:01)
2, Expresso Love エクスプレッソ・ラヴ (05:45)
3, Romeo And Juliet ロミオとジュリエット (08:17)
4, Love Over Gold ラヴ・オーヴァー・ゴールド (03:27)
5, Private Invistigations 哀しみのダイアリー (07:34)
6, Sultans Of Swing 悲しきサルタン (10:54)
[ Personnel ] [ Disc-2 ]
1, Two Young Lovers ふたりは恋人 (04:49)
Mark Knopfler [lead guitar, lead vocals] Intro : a.k.a. The Carousel Waltz "? first 4:30 of "Tunnel of Love"
John Illsley [bass, backing vocals] 2, Tunnel Of Love トンネル・オブ・ラヴ (14:29)
Hal Lindes [rhythm guitar] 3, Telegraph Road テレグラフ・ロード (03:27)
Alan Clark [keyboards] 4, Solid Rock ソリッド・ロック (03:27)
Terry Williams [drums] 5, Going Home -
Theme From "Local Hero"
ゴーイング・ホーム~
ローカル・ヒーローのテーマ
(03:27)
Mel Collins [Saxophone]
Joop de Korte [percussion]
Tommy Mandel [keyboards]
Recorded : At Hammersmith Odeon, London, U.K. July 22 - 23, 1983
Producer : Mark Knopfler
Release : March 1, 1984
Label : Vertigo Records(U.K.) , Warner Bros. Records (U.S.A.)


1984年3月に発売されたダイアー・ストレイツ初のライヴ・アルバムです。
地元イギリスはロンドンのハマースミス・オデオンというロック系コンサートでは定番ともいえる会場で1983年7月22、23日に行われたコンサートの模様がレコーディングされ、その中から抜粋されたテイクが収められました。
余談ですがハマースミス・オデオンは日本の定番のコンサート会場で云えば中野サンプラザとか東京厚生年金会館、大阪フェスティヴァル・ホール辺りですかね?


ドラムが前任の巧みなハイハット・ワークを生かした小気味良いドラミングのPick Withersの様からパワー重視のTerry Williamsに変わった事もあり、殆どの曲がスタジオ・テイクよりも迫力が増しており、大会場での演奏には合っていたのかなと思いますが、こうやって家でアルバムを聴くにはややうるさい感じもしますがこれは好みの問題かもしれません。

また我々日本に住むファンにとっては1983年4月に行われた唯一の日本公演のセット・リストに酷似しており、コンサートに行かれた人には来日公演のノスタルジーに浸れる思い出深いアルバムである事でしょう。

余談ですが私はこの頃はYMOにハマっておりまして、残念ながらダイアー・ストレイツには全く興味がございませんでした、はい。( ^ _ ^;)
なので後追いでその唯一行われた日本公演のブートレッグ音源を聴く度につくづく「しまった~!是非行きたかった、行くべきだったな~。」と後悔しています。

さて内容ですが殆どの曲がスタジオ・テイクよりも長尺の演奏となっており、よりドラマティックな展開のアレンジが施されています。

M-1の[ Once Upon A Time In The West ]はまずノップラーが音楽を手掛けた1983年の映画[ Local Hero ]に収録されている[ Stargazer ]のキーボードによるイントロから始まります。
その静かで厳かなイントロから一転してノップラーのギターが静寂を切り裂くかの様な鋭いグリッサンドとトリルで始まり、続いてドラムとベースも入ってきます。
何度聴いてもゾクゾクするカッコいいイントロで、いつもこの瞬間はドキドキしながら聴いています。
スタジオ・テイクの様なレゲエのリズムではなく、よりテンポもアップしていますがノップラーのSchecter Stratoによる官能的でメランコリックなギター・フレーズがこれでもかとばかりに次々と溢れ出てくる、ノップラーのギター・テクニックが凝縮された素晴らしい演奏です。
大袈裟にいうならこの1曲の為にこのアルバムを買っても損は無いぐらいの演奏内容だと思います。
正にタイトル通りの音の錬金術師(Alchemy)の称号に相応しい名演が詰まったアルバムはこの1曲目から聴き手うぃ圧倒します。

次に本当は2曲目にこのアルバムには収録されていない[ Industrial Disease ]があるのですがキーボードによる導入部のみでフェイドアウトしていき、そこに被さる様にしてM-2[ Expresso Love ]が収録されています。
この曲はノップラーにしては珍しいピック弾きによるギター・ソロが聴けます。


続いて名曲M-3[ Romeo And Juliet ]がスタジオ・テイクよりもグッとテンポを落として演奏されますが、テンポを落とした事でサビ辺りの展開がよりドラマティックに感じられるというこれまた素晴らしい演奏ですね。
ちなみにLPやではこのM-3とM-2の順番が逆になっていますが、実際のコンサートではCDの方が順番通りです。

そして次にLPやCT(カセット・テープ)には入っていないM-4[ Love Over Gold ]ですが、これは個人的にはあまり印象に残らない演奏です。
やはりどうしてもこの曲は楽曲自体の魅力に乏しい様に感じてしまうので・・・・・

M-5[ Private Invistigations ]は基本的にはスタジオ・テイクを踏襲したアレンジですが、静と動のコントラストがよりはっきりしていて非常にライヴ映えするスケールの大きな演奏をしています。

そしてお待ちかねのM-6[ Sultans Of Swing ]ですが、スタジオ・テイクの小粋なBARバンドによる演奏といった趣きではなく、かなりテンポアップした演奏になっています。
特にドラムはまるでハード・ロックかと思う程にアグレッシヴなプレイに終始しており個人的にはここまでドカドカしたオカズを入れなくてもと思う演奏でこの曲の持つシャープな繊細さを多少損なっていると思います。
中盤にブレイクがありピアノによる叙情的な調べがこの曲を引き立てていて、そこにノップラーのギターによるメランコリックな調べが綴れ織りの様に重なり合うという素敵なアレンジで、本当に素晴らしいアレンジだと思います。
その後もこの曲の演奏は基本的にはこのアレンジに近い演奏をしており、このツアーでこの曲のアレンジがほぼ固まったと見て良いでしょう。

ちなみに情報を頂いたのですが、この面(CDでいうDisc-1)の曲順はCT(カセットテープ、当時はミュージック・テープと呼んでいましたね。)では更にLPとも違う曲順になっていたそうで、

1, Once Upon A Time In The West
2, Expresso Love
3, Private Invistigations
4, Sultans Of Swing
5, Romeo And Juliet

の曲順で収められていたそうです。(
情報提供 a-LCHEMYさん:Thanks !


続いてDisc-2ですが、ここで実際のコンサートではこの当時の新曲である[ Twinsting By The Pool ]が演奏されているのですがこのアルバムには収録されておらず同じく当時の新曲のM-1[ Two Young Lovers ]から始まります。
恐らく同じEPシングルに収められた同タイプの曲が2曲続くので、このアルバムではオミットされたのではないかと推測されます。
またこの曲では元King CrimsonのMel CollinsがSAXで参加しており、この陽気なロックン・ロールに一味加えています。

そのままMel Collinsを交えてM-2[ Tunnel Of Love ]が演奏されますが、実際のライヴではM-1の後に[ Portobello Belle ]が演奏されていまして、そのテイクは1988年に発売されたベスト・アルバム[ Money For Nothing ]に収められています。

さてM-2[ Tunnel Of Love ]ですがここでもスタジオ・テイク同様イントロ部分にミュージカル<回転木馬>の[ Carousel Waltz ]が挿入されていますが、そのイントロの前にかなり長尺なテーマが演奏されており、Mel CollinsのSAXがメロディアスな演奏で華を添えております。
そしてエンディングではAlan Clarkのピアノとノップラーのギターの掛け合いで鮮やかにこの曲を締めくくりますが、個人的にこのエンディング・パートは大好きな部分で何度聴いても感動してしまいます。。

そして大作のM-3[ Telegraph Road ]が続きます。
この曲は基本的にスタジオ・テイクとほぼ同じアレンジで演奏されていますが、ライヴならではのアグレッシヴさが良い方向に出ており、静と動のコントラストの付け方も素晴らしく、個人的にはスタジオ・テイクを超えていてこちらのテイクのがベストなのではないかと思っています。

M-4[ Solid Rock ]はライヴ本編の最後を締めくくる曲でスタジオ・テイクと同様のアレンジですが、ここでもMel CollinsのSAXがこの曲にロックン・ロール的な軽快なイメージを付けるのに一役買っています。ただし演奏自体はちょっとラフ過ぎる感じも受けますが・・・・・

そして最後はノップラーが音楽を手掛けた1983年の映画[ Local Hero ]からの[ Going Home - Theme From "Local Hero" ]でコンサートを締めくくります。
ちなみにこの曲でははいつもローディ達が演奏中にもかかわらずステージ・セットの搬出を始めるという演出を行っており、観客からすると「ああ、最後なんだな・・・」と思わせる、正にGoing Homeな気持ちにさせられるニクい演出です。

余談ですがこの[ Going Home - Theme From "Local Hero" ]という曲はイングランド・プレミア・リーグの[New Castle United(ニュー・カッスル・ユナイテッド)]の試合の選手入場に使われている曲でもあります。
ノップラーの出身地のチームで使われているのはなんだが微笑ましいエピソードですね?
現在でも選手入場時に使われていますので、スカパーやケーブルTVのJ-Sports等でニュー・カッスルの試合を放映する日にチェックしてみて下さい。

このアルバムの話題に戻しますが本作は1984年時点でのダイア・ストレイツの活動にひと区切り付ける集大成的な意味合いを持ったアルバムであり、事実その後はバンドとしての活動よりもセッションや映画音楽制作等の課外活動が活発になっていきます。

そして次のアルバムではそれまでのDire Straitsとは異質な言い換えるなら[ Dire Straits Part-2 ]とも言える様な変貌を遂げた内容になっていきます。


最後になりますがこのアルバムとほぼ同内容のヴィデオ映像[ Alchemy ]がオフィシャル発売されていたのですが、現在は廃版でありDVD化もオフィシャルではされておりません。
(たまにタワレコとかに南米からの輸入版と称した海賊版がうられていたりもしましたが、現在ではそれすらも見かけません。
後は東京の西●宿辺りでVHSからダビングしたブートDVDがたまに売られている様です。


(追記) 2010年5月10日に映像版[aLCHEMY]はついにDVDとBlu-rayで再発売されました。



<by Knopfleri (ノップレリ)>

個人的評価 ★★★★★ (満点 = ★★★★★)